YMOで一番好きなアルバムは?と聞かれたら悩みに悩み、やっぱり『テクノデリック』と無難に答えます。
このアルバムの一番好きなところはすごく暗いところです。
レディオヘッドの『アムニージアック』くらい暗い!そこがいい!
以前まで手掛けていた人間味溢れるテクノポップからは程遠い無機質さと陰鬱さと人気ポップトリオの作品とは思えません。
当時酷評されたのもわかります。
そして全編にわたり現代音楽にグルーヴィーなリズムを載せた前衛的な楽曲の数々はポップスからも遥かに遠ざかったもので、これがめちゃかっこいい。
80年代の邦楽ヒットチャートとは対極に位置するような『テクノデリック』はクールさに満ち溢れていて個人的にはオーパーツのような作品です。
初めて『テクノデリック』を聴いた時は「こんなかっこいいアルバムが邦楽にもあったのか」と感慨に浸りました。
ピアノ、ベース、ドラムと基本的な編成にサンプリングと以前までのイエロー・マジック・オーケストラからは考えられないシンプルな構成でジャンルレスな楽曲に仕上がっているのもまた驚きます。
ジャズでもフージョンでもファンクでもないどう形容したらいいのか分からない楽曲。
いつ聴いてもこのアルバムだけは格が違うように思います。