デイミアン・チャゼル監督作の『ラ・ラ・ランド』を観ました。
日々オーディションに励む女優のミアとジャズを愛するピアニストのセブのラブストーリーです。
不思議なタイトルだと思い調べてみると、"la-la land"は夢見心地やロサンゼルスのハリウッドを意味する名詞だそうです。
ミアはハリウッド黄金時代にセブはビー・バップにあこがれ、遠い昔の黄金時代をロサンゼルスで探しているように見えます。
ロサンゼルスに来る人々はそのような憧れを皆が抱いているといわんばかりのオープニング。
オーディションに落ち傷心するミアはルームメイトに誘われパーティへ赴き、車がレッカーされてしまいジャズバーへふらっと立ち寄るとセブに出会います。
ただセブは解雇されてしまった直後で声をかけたミアを無視しバーを出ます。
月日が流れミアは再びセブに会い、ロサンゼルスが一望できる丘へ。
マジックアワーに彩られた夜景の中でミアとセブがダンスするシーンが印象に残り、正直以降の内容をあまり覚えていません。
セブは学生時代の友人から誘われネオソウルバンドに加入しツアーで各地を巡り、ミアは企画した一人芝居が思うようにいかず帰郷と二人の一方が夢の都市・ロサンゼルスから離れてしまう出来事が連続で発生しますが、いずれかが去るとロサンゼルスへ残った一方がロサンゼルスへ連れ戻してくれます。
夢への実現で最も困難なことは絶えずそれを意識することであるように私は思います。
本来の目的を見失った時に手段は目的と化して無味乾燥な日々が過ぎていき、そんな時に夢に向かって頑張る人が身近にいれば、目に映るのは自分の夢であるのかもしれません。
このようにラブロマンスでありながら二人の関係は恋愛関係とはまた異なった関係があります。
そしてミアは思わぬ幸運を手にし大作映画の撮影のためにパリへ数ヶ月間旅立ちます。
セブもバンドで得た資金で夢であったジャズバー開店へ進み、二人は後は突き進むのみです。
5年の月日が経ちミアは夫と共にセブが経営するジャズバーへ行き、セブがピアノの前に座りテーブル席を眺めるとミアに気づき、演奏と同時に「もし別れていなかったら」と走馬灯のようなシークエンスが始まります。
それは確かに美しいものであったかもしれませんが、夢へ突き進むことを断念した姿でもあるのかもしれません。
「お互い夢に向かうことを選んだよな」というセブとミアの目配せはかつての恋人というよりも仲間に向けるようなもののように感じました。
ロマンスとして観たら悲しいラストですが悲壮感よりも爽快感が残る不思議な作品でした。