
ピーター・ウェーバー監督作の『終戦のエンペラー』を観ました。
昭和天皇の戦争責任の調査と恋人のアヤを探すフェラーズ准将とワシントンDCから天皇の処刑を要求されているダグラス・マッカーサー元帥率いる連合国軍総司令部(GHQ)が戦後日本の占領統治に向けて歩みだしていくまでを描いた作品です。
今作はフェラーズ准将とアヤのストーリーにウェイトが偏っているので、大統領選に出馬するためには日本の占領統治をなんとか成功させたいダグラス・マッカーサーと天皇の処罰だけはなんとか避けたい日本政府と宮内省の緊迫した交渉が描かれることはありません。
GHQの基本方針としては天皇を軍事裁判にかけ処刑宣告をしたら日本はたちまち共産化してしまうと懸念しているので、DCやアメリカ国内の世論に圧されて処刑することだけは是が非でも避けたい。
そのためには天皇に戦争責任がないことを公表する必要があり、知日家のフェラーズ准将が10日間の猶予をもらい調査します。
フェラーズはそれと時を同じくして恋人のアヤを個人的に探すので、その仕事量は尋常ではありません。
アヤはアメリカ留学するほどの才媛でフェラーズとは大学で出会い恋仲になります。
私はてっきりGHQの通訳としてアヤとフェラーズは出会ってこのサイドストーリーはすぐ終わるのだろうなどと思っていると、ずるずる終盤までフェラーズはアヤを探しています。
こうなると片手間仕事で天皇の戦争責任を調査しているという印象を受けました。
もしかしたら日本人民社会主義共和国が誕生し救国の英雄マッカーサー元帥の晩節を汚しまくり東アジア情勢が大きく変化してアメリカの戦後秩序の根本に関わるかもしれない重大な仕事をしている時に昔の恋人を探し回っている場合かと私は思います。
フェラーズのセンチメンタルのせいでアニメ・漫画・ゲーム文化がごっそりと消失していた可能性もあったと思うと恐ろしいです。
フェラーズはアヤの叔父である鹿屋大将に日米開戦前に出会い日本兵と天皇の関係をそれとなく聞くと、鹿屋大将は日本古来から続く日本人の本音は忠誠と服従であるなどと独自の日本人論を披露しています。
そうであるならば日本人に根ざした皇室への忠誠と服従を軍部が上手いこと利用し天皇が軍国主義の扇動を担った責任があるかもしれないことが明らかになっているのでフェラーズはこのことをもっと深堀りしなければなりません。
しかし、フェラーズはアヤを探すことに夢中になり闇市でやけ酒をあおっています。
そういう作品でした。