ののの・ド・メモワール

その日観た映画や本や音楽の感想を綴ったりしています

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日記のように色々なこと(主に読書、映画、音楽)のアウトプットをしていきたいと思います。まれに雑記も書きます。
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明日がどうなるか分からない 『灰とダイヤモンド』

今年の主なニュースをざっと見てみると例年通りろくでもないニュースが並び、普通に生きているだけで不安はどんどんと積もっていきます。

明日がどうなるか分からない中でどうやって生きていけばいいのか?と思ってしまいます。

このように無秩序で不規則な世の中だと自分の信条を貫き続ける勇気がより一層大切な気がしてなりません。

しかし、そんな勇気をどうやって抱けばいいのか分からないという疑問に少しだけ応えてくれそうな映画を観ました。

灰とダイヤモンド アンジェイ・ワイダ監督

灰とダイヤモンド

舞台はナチス・ドイツ降伏直後のポーランド

ナチスに抵抗したワルシャワ蜂起を経たポーランドはロンドンのポーランド亡命政権ソ連が樹立したルブリン政権の2つの政府が存在し、ポーランドを掌握したのはルブリン政権でした。

ポーランド亡命政権派の青年マチェクがルブリン政権高官のシュツーカを暗殺する命令を受けるというレジスタンス運動を描いた作品です。

歴史上周辺の大国から幾度と侵略されてきたポーランドが自国の文化を今に継承し続けているのはマチェクのように必死に抗った人々が存在し続けたからなのでしょう。

アンジェイ・ワイダポーランドを題材に映画を撮り続けた理由の一つに大国の論理に抵抗した人々がいたことを後世に伝える目的があったのではないかと思います。

マチェクがシュツーカを暗殺したと同時にナチス降伏を祝う花火が上がるシーンにはワイダの願いが込められているのを強く感じました。

その後にマチェクは人民軍兵士に撃たれながら追われ真っ白なシーツが多数干してある広場の中を駆け抜けゴミ山の中にうずくまり死んでいくまでのシークエンスはなんとも印象に残りました。

大きな志のために死んでいった人々が数多いたことをゴミ山が象徴しているようにも感じました

ただマチェクは死んでも自分の信条を貫くかどうか葛藤するシーンもあります。

普通に人並みに生きようと思えばいくらでも出来たわけですがマチェクは結局その生き方を選びませんでした。

この選択が最善だったのかどうか深く心に残りますが、心を揺さぶられます。