読書
「知識人」と呼ばれる人々は誰か? 知識人と聞いて私が真っ先に思い浮かぶのはジャン=ポール・サルトルで次点が三島由紀夫です。 いずれにせよ過去の人であり、現代社会の知識人ではバーニー・サンダースとマーサ・ヌスバウムがまず思い浮かび、日本人では…
ノーム・チョムスキーの『誰が世界を支配しているのか』を読みました。 というより読んでいます。 アメリカ合衆国の二大政党、経済政策、安全保障、外交政策そしてそれを支える知識人とメディアなどが俎上に乗せられ、チョムスキーの慧眼から現代の深刻な状…
お聖さんこと田辺聖子の『お茶が熱くてのめません。』を読みました。 現在シナリオライターとして成功しているあぐりの元に、かつての恋人・吉岡が訪ねてくるというストーリーです。 あぐりが吉岡と出会うのは約7年ぶり。 吉岡はどこかくたびれたような人生…
長明は『方丈記』を自分に向けて書いていると便宜上記していますが、彼は読者を想定して本作を書いているように私は考えます。 長明は火災や飢餓などで家財や家族などを失ってしまった人々をその生涯の中で見つめ、このような苦しみの中で生きる人々に対し自…
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。(中略)世の中にある人と栖又かくのごとし。 訳.川の流れは絶えることがなく、また水はその度に入れ替わりもとの水も流れゆく。世の中で生活をする人々と彼らが建てた住居もまた似たようなものだ。 鴨…
鴨長明が著した『方丈記』は清少納言の『枕草子』と吉田兼好の『徒然草』に比肩する随筆文学の傑作です。 著者の鴨長明は賀茂御祖(下鴨)神社禰宜の家系に生まれ、若い頃に保元・平治の乱、治承・寿永の乱を経験し更に飢饉や火災そして地震など政情不安と自…
デッドマンズ・Q 荒木飛呂彦先生の短編『デッドマンズ・Q』を読みました。 幽霊となった吉良吉影が現世を漂いながらある仕事に従事し、その仕事を糧に日々を過ごす姿を描いた作品です。 吉良は仕事のために様々な道具を必要とするも、それを持ち歩かず(また…
筒井康隆先生の『乗越駅の刑罰』を読みました。 作家として大成し七年ぶりに帰郷するも駅にて無賃乗車を疑われた入江の顛末を描いた作品です。 のほほんとした雰囲気が伝わる田舎の小さな駅が舞台であるものの凄惨な出来事が繰り広げられます。 各駅停車に乗…
El diario de Porfiria Bernal アルゼンチンの作家シルビナ・オカンポの短編『ポルフィリア・ベルナルの日記』を読みました。 家庭教師アントニア・フィールディングと教え子のポルフィリア・ベルナルの関係が日記により明かされていく様子を描いた作品です…
El espejo de Lida Sal グアテマラの作家ミゲル・アンヘル・アストゥリアスの短編『リダサルの鏡』を読みました。 カルメンの聖母の祭りが迫った村の食堂で皿洗いをするムラータの娘リダ・サルは密かにアルビスレス家のフェリピトに恋をしており、なんとか彼…
色川武大の著書『怪しい来客簿』収録の「空襲のあと」を読みました。 エッセイのようでありながら私小説のようでもあり、そしてマジックリアリズム文学のようでもあるなんとも不思議な作品です。 度重なる空襲で焼夷弾が降り注ぎ家々が燃え盛る大戦末期の東…
コンテクスト なんとなく記号論に興味を持ち断続的に入門書を読み、理想的なコミュニケーションではコードと呼ばれる規律が重要であることが掴めたような気がします。 例えばイラストにあるテキストは「シャンプー買ってきて」「OK」のテキストが示されてい…
ガリレオ・ガリレイ マーティン・ガードナーの著書『奇妙な論理』を読んでいます。 私は本著の副題の『だまされやすさの研究』に惹かれて、かなり以前に本著を購入し積ん読の中の一冊となっていました。 本著は自然科学に限定して疑似科学を取り扱い、提唱者…
普段生きていて、死体というものを見ることは現代社会では滅多にないことです。 私は一度だけロードキルに遭った鹿の死体を見たことがあります。 轢死体となった鹿は下腹部が破れ内臓が一筋の連なりとなり路上に投げ出され路肩は一面が血に染まっており、私…
フリオ・コルタサル短編集『遊戯の終わり』収録作の『いまいましいドア』を読みました。 ペトローネは仕事の関係である古いホテルへ泊まり、隣の部屋には女性が一人で宿泊しています。 部屋には洋服ダンスで塞がれた一枚のドアがあり隣の部屋へ繋がり、夜に…
説話論的という謎のワードが頻出しググってみてもよく分からず、とりあえずこのワードのことは保留し読み進めていくときっとナラティブみたいな意味なのだろうと独自解釈することにしました。 最近お茶漬けを食べていません『お茶漬けの味』 - ののの・ド・…
Qu'est ce que l'écriture? ロラン・バルトの著書『エクリチュールの零度』を再読していました。 こちらは文学をエクリチュールという概念を導入し、文学を捉えようという意欲的で難解な著作です。 このエクリチュールという概念が色々なものに適用できるの…
ノーベル賞で騒いでいるメディアがアメリカで研究を行った日系アメリカ人のDr.Syukuro Manabeを日本の功績のように回顧し喧伝している様を横目に私は村上龍さんの『タナトス』を読んでいました。 今作は『エクスタシー』『メランコリア』に続くエクスタシー…
エイハブ船長 今週のお題「夏の思い出」 最近のニュースで1ヶ月に1冊も読書をしない人の割合が6割に達し「読書なんかしても意味がない」というネットの意見を見ました。 なので私が小説に救われた話をしたいと思います。 それは中学3年生の初夏のことで、…
霧尾ファンクラブ終了を知る二人 明日は個人的にビッグイベントがあります。 兵庫県知事の不信任決議案が提出される日でもあり地元が大変なことになっていますが、それはどうでもいい。(どうでもよくはないけれど) 私が今年になってからハマって読んでいた…
安部公房作の短編集『R62号の発明・鉛の卵』より『パニックを読みました。 職業紹介所の出口にてパニック商事の求人係から勧誘を受けた男が殺人容疑者として裁判を待つまでに至った経緯を彼自身が語るという短編です。 今作では何か大きな存在の渦に無作為…
犬 安部公房短編集『R62号の発明・鉛の卵』収録の『犬』を読みました。 あらすじは美術研究所に勤める画家のぼくが結婚相手のモデルが連れてきた犬と闘うというものです。 今作の面白いところは人間と動物の主従関係が途中から対等になり、果てに両者の関…
小津安二郎監督 私の趣味の一つにステッカー作成があり作ったステッカーを今年は日記帳に貼っています。 日記帳に貼っているステッカーは小津安二郎監督作『晩春』にて原節子が嫁入り衣装に身を包み笠智衆に見守られるあの美しいワンショットです。 そのため…
火の雨 アルゼンチンの作家・レオポルド・ルゴネスの作品を読みました。 タイトルは『火の雨』で全15ページの短編です。 収録は河出文庫の『ラテンアメリカ怪談集』からです。 レビ記26‐19 ―汝らの天を鉄の如くに為し汝らの地を銅の如くに為さん― 序文…
・山椒魚 井伏鱒二 山椒魚 岩屋の中で過ごしていた山椒魚は自分の体が成長したことに気づかず、外に出られなくなり岩屋に迷い込んできた蛙をその岩屋に閉じ込めてしまう有名でユーモラスな短編。 岩屋と山椒魚と蛙は読み手によって様々な解釈ができる暗示め…
今週からすさまじい寒さで日本海側ではものすごい積雪だとニュースで知り、私はボランティアで雪かきしたことを思い出しました。 そのボランティアは朝から始まりまずシャベルで歩道の雪を掘り進め、歩道が凍りつかないように塩化カルシウムをばらまく作業を…
久しぶりの読書記録です 昨年の4月からアートスクールに通って絵を描くようになりました。 それまで絵を描くことが全くなかったので、私が入ったのは初級クラス。 大の大人が小学生たちに混ざって鉛筆をシャカシャカやっている姿は傍目から見たら完全に教師…
カフェでお絵かき 今日ついに1日1ページ日記帳を使い切りました。 まだ一年終わっていないのになぜ終わったかというと調子良い日は2ページくらい使ったりとかなり不規則な日記の書き方をしていたせいです。 それではどういうことを書いていたか読んでいき…
ムーン・ジャンパー 私は宇宙のことを考えるのが好きです。 宇宙のスケールの大きさと謎に満ちた魅力を考えると自分の悩みがどれだけ小さいか知り妙な安心感を得ています。 太陽系外から地球を撮影したペイルブルードットという有名な写真を見ると、太陽系か…
江戸川乱歩といえば明智小五郎や少年探偵団が有名なミステリー作家ですが、私は怪奇小説の方が好きです。 江戸川乱歩の怪奇小説の魅力を挙げると主に3つ ・人間怖い! ・大正怖い! ・文章怖い! です。 乱歩が書く怪奇小説の特徴は幽霊などが出てこず人間…