ののの・ド・メモワール

その日観た映画や本や音楽の感想を綴ったりしています

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ケネディ大統領暗殺に迫る作品『JFK』

JFK

 オリバー・ストーン監督作の『JFK』を観ました。

ニューオーリンズの地方検事のジム・ギャリソンがケネディ大統領暗殺がリー・オズワルドの単独で行われたのか調査していくというストーリーです。

固有名詞と人名が大量に出てきてついていくのが大変な作品で、しかも上映時間は3時間半もあります。

ただ現実とフィクションを上手く織り交ぜて推理サスペンスに昇華されていて最後まで飽きずに観ることができました。

 端的にいうとケネディ暗殺はリンドン・ジョンソン副大統領のクーデターで軍需産業のためにベトナム戦争の継続を目論む影の政府?によりCIAやFBIが手足のように動いていたというのがギャリソン検事が調査で行き着いた結論であるように思いました。

ジョンソン副大統領だけでなくリチャード・ニクソン議員も槍玉にあがり作品公開時はまだ存命だったので何も抗議しなかったのであろうかと思ってしまいます。

 作中のケネディ大統領は終始若くてかっこいい平和主義者でベトナム戦争のみならず冷戦までも終わらせようと画策するほどの偉大な大統領として描かれていますが、正直あのまま生きていてもこの2つを達成するのはちょっと厳しいように感じます。

 しかし、軍縮を目論むベトナム戦争厭戦派のケネディ大統領と軍需産業と結託したベトナム戦争継戦派のジョンソン大統領という二項対立がなかったら今作はとんでもなくつまらない作品になっていたでしょうから、ジョンソン大統領が不憫になりますがエンタメのために犠牲になった偉大な大統領とも言えます。

 今作はこのようなストーリーなので、随所に都市伝説や陰謀論が散りばめられているようです。

私も作中のリー・オズワルドの行動力にびっくりしました。

作中のオズワルドはCIAの職員でマフィアや財界とも繋がりがありソ連に渡ってレーダー技術の情報を共産党政権に横流しする24歳の青年です。

こんなにバイタリティ溢れているなら別にケネディ暗殺に関わらなくてよかったのではと思いますが、作中でも実は真犯人にはめられた無実の人間という側面が強調されています。

ボルトアクションライフルで大統領に向かって6秒間に3発の銃弾を狙って浴びせるのは不可能だと作中でギャリソン検事が断定していますが、これだけ優秀な青年のオズワルドならなんとかやってしまいそうな気がしました。

そして作中ではCIAの関与が殊更強調されていますが、情報機関が自国の大統領を暗殺するなんて大胆な行動に出ることにちょっと納得がいきません。

情報機関なら世論を掻き乱し混乱させてしれっと戦争の継続を遂行するしたたかな作戦を取ってほしいと私は願うので、ヒッピームーブメントがCIAの工作であったんじゃないかみたいな作品を観てみたいです。