ののの・ド・メモワール

その日観た映画や本や音楽の感想を綴ったりしています

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日記のように色々なこと(主に読書、映画、音楽)のアウトプットをしていきたいと思います。まれに雑記も書きます。
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ホドロフスキー監督のカルト問題作『ホーリー・マウンテン』

ホーリー・マウンテン


 アレハンドロ・ホドロフスキー監督作の『ホーリー・マウンテン』を観ました。

9人の賢者が聖なる山(ホーリー・マウンテン)を目指すというストーリーです。

最近は仕事が忙しくブログにかまっていられない私は今作を出張中に宿泊したホテルでたまたま観ましたが、あまりに強烈すぎる今作で何を書いたらいいのか分かりません。

 まず前半部はセリフがほとんどなく、純粋な映像体験を楽しめました。

ホドロフスキー監督演じるジ・アルケミストマリリン・モンロー風の女性二人を丸刈りにするシーンから今作は始まり、タロットの愚者を表す風貌がイエス・キリストの男が砂漠で横たわりキリストのような受難を受けていきます。

ここはキリスト教の知識が私に多少あればもっと楽しめたかと思います。

以降はシュールレアリスムというよりマジックリアリズム全開な視覚効果に圧倒されるだけでした。

ガルシア・マルケスの影響を感じつつ、ただ眺めることしかできない。

理解しようと思ってもどうすることもできないのが本作でした。

顔をくり抜いたキリストの男のゴム人形を風船にくくりつけて空に飛ばすシーンは印象に残っています。

 今作中盤に9人の賢者が勢揃いし人物紹介が行われますが、全く頭に入ってきませんでした。

今作を観ていて私ができたことは映像をただただ享受するのみです。

そして、ラストにジ・アルケミスト率いる賢者一行がホーリー・マウンテンの麓に着いたときに唐突にラストを迎えます。

これはすごいとしか言いようのない映画でした。

ラスト30秒のための映画といってもいい気がしてしまいます。

そして私はこのような言語化することができない映像体験は初めてです。

今作は映画芸術が目指す一つの到達点に限りなく近い位置に存在している映画ではないかと私は思います。

アートという軽い言葉では包括できないエネルギーを発している今作を前に私は感動を通り越してよく分からない感情に浸りました。

またサウンドトラックもかっこいい作品です。