マーク・ウェブ監督作の『500日のサマー』を観ました。
同じ会社に勤めるコピーライターのトムと秘書のサマーの500日を描いた作品です。
トムは真実の愛や運命を夢想するロマンチストで、サマーに一目惚れし勝手に運命を感じます。
対するサマーはそのような運命などを信じないリアリストです。
お互いはそれぞれの線上に立ち、最後まで平行線を歩みそして交わることがない悲しいボーイ・ミーツ・ガールでした。
作中ではずっとトムがサマーへの思いを炸裂させています。
恋愛なんてそんなものだとは思うけれど、トムの思いが炸裂しすぎたがためにサマーの気持ちが冷めてしまったとも見れます。
ただトムは悪くない。
ブレーキが壊れてアクセル踏みっぱなしで爆走している車のようなものです。
そしていよいよヘッドホンで音楽を聴きながら出勤している最中にエレベーターでサマーと同乗し、彼女から話しかけられトムは運命を確信したように微笑みサマーとの交流が始まります。
トムは「サマーと絶対恋人になるわ」と言わんばかりにアプローチするのですが、サマーはあくまで友達の一人として付き合っていきたい様子。
なぜサマーがここまでドライな対応をしているのかというと、彼女は愛嬌がある美人でめちゃくちゃモテるからでした。
そしてガーリースタイルなファッションに身を包み、嫌味なくあざとさを演出しています。
私の知り合いにもサマーのようなナチュラルボーンあざとい美人がおり、SPに守られるVIPのように男性に囲まれている様子を幾度か目撃したことがあります。
サマーを見ているとその人のことを思い出し、トムを見ていると彼女の周りに群がる男性陣を思い出してしまった。
なので余計にトムのことを思うと胸がキュッとなってしまいます。
トムは運命の愛を信じていますが、サマーにとってはただの友達でワンオブゼムである隔たりは超えられそうにありません。
サマーにとってトムは「この人、私が色々すると喜んでて可愛い」くらいの感覚で接しているのが伝わってきてなお辛い。
ただサマーにも問題があります。
トムとは一応友達と言っておきながら、途中からやっていることは恋人のそれです。
トムがまともな人間だったからよかっただけで、このような事を続けていたらいつか刺されても文句は言えない。
しかし、サマーとの出会いでトムは人生の新たなる一歩を歩むことができるようになったのは本作の救いです。
サマーも信じていなかった運命の愛を見つめるようになるので、結果としてはお互いに良かった思い出になるでしょう。多分