
ダーレン・アロノフスキー監督作の『π』を観ました。
アパートの一室でスーパーコンピューター〈ユークリッド)を用いて株式市場の予測を行う数学者のマックス・コーエンがスパコンが弾き出した216桁の数字に固執していくというストーリーです。
全編モノクロでマックスが次第にせん妄に囚われていく様子をカメラの手ブレで演出しているように思え、そしてテクノミュージックを全面に押し出した劇伴がかっこいいです。
こういう暗いテクノな劇伴はナイン・インチ・ネイルズが大好きな私としてテンションが上ります。
マックスはウォール街のブローカーから依頼されアパートで市場予想を行い、住んでいるアパートの近所のカフェでユダヤ教のラビであるレニーに出会いモーセ五書の話を聞き、大学時代の恩師で円周率を研究していたソル博士の元に通っています。
彼らから話を聞いていると株式市場、モーセ五書、円周率に共通する216桁の数字が浮かび上がりマックスは〈ユークリッド〉が弾き出したあの数字こそがそれであると確信します。
そしてここからこの216桁の数字は万物の事象という暗号を解くための鍵でありこの中には何かの法則が潜んでいると思い込んでいくのでした。
一つのことに固執している際の頭の中を映した作品でもあると思い、マックスに必要であったのは冷静になるための息抜きです。
少々偏執的なところがある私もこの気持ちはよくわかります。
こういう人間は一度そうだと思いこむとずっとそれに固執してしまう。
私はアミューズメントで友達とポーカーをプレイする時によくマックスのような状態になります。
「あいつばっかりフロップ*1でナッツ*2になるのはおかしい。」や「私ばかりラグ*3が配られるのはおかしい。」とこのような不幸が続くことは確率として十分ありえるのですが、もうティルト*4寸前となります。
遊びでこのようになるのでもし現金を賭けていたら破産してしまうタイプの私は絶対ギャンブルできません。
しかし、マックスは数学の才能に恵まれているので一度固執するとその才能を全て216桁の数字に注ぎ込みます。
〈ユークリッド〉の基板から何やらねちゃねちゃした物質が出ていると発見したマックスはそれを顕微鏡で覗くと細胞組織のようなものが見え、それは渦巻いていました。
ここからマックスは黄金螺旋と216桁の数字との関係を探っていき、訳が分からなくなったマックスは頭にドリルで穴を開けるのでした。
呆気にとられ気づいたら上映が終わるのはフェリーニ監督の『81/2』に似ているようにも思います。