ののの・ド・メモワール

その日観た映画や本や音楽の感想を綴ったりしています

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日記のように色々なこと(主に読書、映画、音楽)のアウトプットをしていきたいと思います。まれに雑記も書きます。
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呪いのスパイラル『らせん』

 中田秀夫監督作の『らせん』を観ました。

息子を失い自殺未遂を繰り返す医師の安藤満男の元に旧友の高山竜司が献体として運ばれ、安藤は高山が研究していた呪いのテープの呪いに巻き込まれていくというストーリーです。

 日本の場合、故人の霊を憑依するイタコのように喪失への緩和を行う祈祷が土着信仰に組み込まれる一方で生きた人間を殺したいと願う人々のニーズに応える呪術師が現れ、前者は既に超自然的能力を持っている者が行使するのに対し後者は超自然的能力を操る技術的知識として継承されていきました。

人々の呪いへの恐怖はとても大きく、奈良時代平安時代では恨みや妬みを向けられることが多い公卿たちが呪詛に禁令を出すほどです。

 今作『らせん』ではシャーマニズムが廃れつつある現代に祈祷と呪いが融合した存在である山村貞子を巡る物語です。

祈祷と呪いが交わるとは自分自身を殺したいと願うことです。

安藤は自死を望んでいますが、原因は先程述べたように息子を失ったためです。

貞子と安藤の自死念慮が共鳴し合ったことで彼は呪いを受ける運命にあります。

彼のもとには高山の恋人であった高野舞が訪れ、安藤に呪いのテープについて語ります。

呪いのテープには井戸に突き落とされ亡くなった超自然的能力を扱う山村貞子の呪いが込められ、再生した映像を媒介に呪いが伝播し無差別に人々を襲う仕組みです。

このようなことになったのは貞子の呪いがシャーマニズムが不要になった世界に向いているためです。

 彼女もシャーマンが必要な世の中であればこうはなっていなかった可哀想な存在ですが、彼女の呪いが分子生物学や疫学などの科学的アプローチにより解明されようとしています。

うむうむ面白くなってきたと思っていると、実は舞は貞子同様能力者で安藤の子供を宿し生まれてきた子供は舞の姿をして貞子の心を宿している舞ver.2であると怒涛の展開を迎えます。

そして安藤は新たに誕生し数週間で成人に成長した舞ver.2との間にも関係を持ち、失った息子を産ませて終わります。

こういう展開ならもっと舞との関係を深堀りしてほしかったものです。