
アラステア・ファザーギル監督とマーク・リンフィールド監督による『アース』を観ました。
北極から南極までの多様な環境で生きる野生動物を映したドキュメンタリー映画です。
多様な野生動物の中でもホッキョクグマとアフリカゾウとザトウクジラの三種の哺乳類動物が今作の主役です。
今作の主題は地球温暖化による生態系への影響なので、それを訴えるには人間と同じ大型の哺乳類が環境の変化に適応できないかもしれない姿を映すことが効果的だと考えられた選出です。
そこから大型哺乳類が苦しむということは人間もまた地球温暖化で苦しまなければならない現実があり、「人間の生活のために環境を守ろう」な人間中心な従来の考えから「人間と生物が地球で共同生活を営んでいることを知ろう」な生活環境である地球中心な考えへの転換が計られています。
ただし、専門家でもない一般人にとって数十年から数百年単位の時間を要する地球の課題に対する関心はその規模のために低く、これは認知的不協和という現象です。
しかし、人々の脳裏に氷河が消えて飢餓に苦しむホッキョクグマなどが地球上に存在することを留めさせることが大切であることを今作は映像で語っています。
そのようなことを考えなくとも、地球上の生物群系でそれぞれの生態系が育まれ互いに影響しあっていることに感動します。
生態系内でも捕食者は余剰に被捕食者を捕食することがなく、自分たちが消費する量を守っています。
知識として知っていても映像で見せられるとパズルのように各々のピースがはめられ完成された生態系には感動し、そこから地球生態系の頂点捕食者である人間が特異な存在であることも浮かび上がります。
なぜ人間が特異な存在であるかは人工的に作られた文明を基盤に生き、自然は文明の発展と共にどんどんと遠い存在になったためだろうと思います。
こうして捕食者の倹約は忘れ去られ、とうとう地球のキャパシティを超えるかもしれない状況になってきてしまうことを考えると産業革命から約200年程度でこうなってしまうとは人間の影響の大きさがよく分かります。
今作公開から20年が経ちコロナ禍が収束すると大量生産・消費・廃棄社会の栄光が蘇りモノだけでなくコトに及ぶ暴走ぶりを見ていると循環型社会への転換が訪れる日がはるかに遠く思う一作でした。