昨日に引き続きスペインの映画作家・ビガス・ルナの作品を観ました。
・マルティナは海 ビガス・ルナ
愛のために計画性もなく後先を考えずに行動してしまった人々の顛末を描いた作品です。
昨日観たハモン・ハモンよりもこちらの作品の方がショットが美しく私の好みでした。
スペインの港町に赴任してきた文学教師のウリセスは下宿先のカフェテリアの娘・マルティナに魅かれ、店主のマルティナの父親に「娘に手出したら許さんからな」と忠告されるもフルシカトしマルティナにアプローチ。
その様子を口惜しく見ているのは不動産業と建築業で財をなしたシエラで、彼はマルティナに惚れていて会うごとにアプローチするけれどことごとくマルティナにフラれるのに諦めない如何にも悪そうな出で立ちをしています。
マルティナもウリセスに魅かれあれよあれよと妊娠と結婚に至ってバレンシアに新婚旅行へ。
ここまでは本当に美しいショットに彩られる物語でした。スペイン料理も出てきます。
その後にウリセスは船を購入し、船にマルティナと名付けマグロを捕りに地中海か大西洋に船出し嵐に巻き込まれ翌日難破した彼の船マルティナ号が見つかります。
ウリセスの死体は見つかりませんでしたが、どうやら捜査は打ち切られ死亡扱いとなりますが実は生きていて数年の月日を経てマルティナの元に帰ってきます。
ここまでだと「素敵やん」なラブロマンスですが、マルティナはシエラと再婚していました。
ここから2人の男に愛されるマルティナの人生が始まり、そして破滅に向かいます。
マルティナも自分がどうしたらいいのか分からずシエラの目を盗みウリセスと抱き合う日々を重ねる姿はまるで答えのない問題の正解を必死に探しているようで見ていて痛々しいものでした。
ウリセスも傍目から見たら完全にクズなのですが、彼からしたら空白の数年を埋めるかのようにマルティナを抱いて日々を重ねています。
そしてこのことを知った時のシエラの気持ちを考えるとこれもまた非常に辛いものです。
後半からはすさまじい愛憎劇となり、誰も幸せにならないラストになってしまいなんとも朝から辛い気持ちになりました。