3日ほど前から小指サイズのムカデが昨夜現れたので捕まえて野に放ちました。
この3日間の恐怖と不安の中で生活からやっと解放され安堵しています。
実際にはこちらから危害を加えない限りなにかされることはないのですが、やっぱりあの見た目でもぞもぞされると怖い。
私の実家は山の麓にあるので夏になると多様な虫たちが家に入ってくる環境で考えた虫に対する最善の対処法はひたすら待ち伏せし続け夜にのこのこと出てきた虫を捕まえ山に返すというアンブッシュ・アンド・キャプチャーこそが最も経済的で平和的な解決だということに至りました。
そのようなわけでベッドの上でじっと機会を待ちムカデに備え、そして昨夜やっと長い戦いが終わりました。
この間に2回もこのムカデにばったり出会いお互いがパニックになり取り逃がしてしまい昨夜にまた出会うまでその存在をちょっと忘れていたくらいでしたが、3回も出会うとこちらの方が有利。必要なのは立ち向かう勇気のみ。
「人間を舐めるなよ」と颯爽と紙コップを被せ、すかさずその間にハガキを差し込む。
これが動作をいかに冷静に行えるかが勝敗の行方を左右します。
ムカデを探すなかで部屋を掃除できたことに感謝の念を込めながらかなり遠くの野原に解き放ちました。
またムカデの恩恵は他にもあり、それは読書ができたことです。
村上春樹のアフターダークとフリオ・コルタサルの遊戯の始まりについてのここまでの感想を書きたいと思います。
まだ1章までしか読めていないので、どのような物語なのかよくわからないのですが舞台は渋谷のデニーズで時刻は午後11:56。
若い男が一人デニーズに入ってきて同級生の妹をたまたま見つけてめちゃくちゃ馴れ馴れしく話しかけるシーンが続きます。
この同級生の妹の名前がマリで姉の名前がエリだそうです。
読み進めると、どうやら2年前の夏にこの姉妹とプールに行ったようでマリが何飲んだかとか話しはじめたときにはホラーでも始まるのかと思ってしまいます。
村上長編作品って何考えてるか分からないサイコよく出てきますよね。
しかもこの男は名前を聞かれても適当にはぐらかしたりと怪しさ満点です。
ただ彼がデニーズで注文したチキンサラダとクリスピートーストは美味しそうでした。
この男にファミレスで出るようなチキンが以下におぞましい過程を経ているかマリが説明すると「ジョージ・オーウェル風チキンサラダだね」と返事するシーンはお気に入りです。
遊戯の始まり
こちらは短編集です。かなり短い短編なのでほぼショート・ショートのような印象。
短いマジックリアリズムの傑作はひとつの短編が長編小説一冊分に匹敵するほどの読み応えがあり、まだ数編しか読んでいませんがもうフリオ・コルタサルの大ファンになりました。
星新一が好きな人はどはまりしてしまうかもしれません。
以下はその紹介
・続いている公園
原稿用紙5枚分ほどの作品ですが素晴らしいです。
自分が読んでいる小説の登場人物に襲われてしまうという内容で日常と非日常の混合をこんなに簡潔に書いてしまうのは一体どうなっているのでしょう。
マジックです。
・誰も悪くない
こちらはセーターに襲われるという内容。
気づいたときにセーターの襲撃はどんどんとエスカレートしていく様は
非常に不思議な一編でした。
以上になります。
アフターダークは今のところどうなっていくのか分からないですが、きっとこの若い男はキーパーソンであるのは間違いなさそうだと思っています。
遊戯の始まりはさくさく読み進めずじっくり吟味しながら読みたいです。