ののの・ド・メモワール

その日観た映画や本や音楽の感想を綴ったりしています

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日記のように色々なこと(主に読書、映画、音楽)のアウトプットをしていきたいと思います。まれに雑記も書きます。
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湿地帯に一人で暮らす女の子の成功物語『ザリガニが鳴くところ』

ザリガニが鳴くところ

 アメリカで2019年に一番売れた書籍が原作の『ザリガニが鳴くところ』を観ました。

ノースカロライナ州の湿地帯にて父親のDVが原因で一家が離散し家に一人残されたカイアが街の名士の息子チェイスを殺した容疑で第一級殺人罪で起訴されてしまうというストーリーです。

 カイアは環境に恵まれなかった天才肌の人物で私は直近に観たバート・ランカスター主演の『終身犯』を思い出し、周りから蔑まれようと自分の人生を自分で開拓するフロンティア・スピリット礼賛な作品でもあるように私は感じ、アメリカではこういうのが今も昔も受けるのだなと思いました。

自分の才能を自己研磨して人生を成功に導くという作品は日本ではほとんど見かけないような気がし、大抵よき師範が主人公を見守って彼らは師範に従って成長していくタイプの作品が日本では受ける気がします。

 この作品で日米の文化の違いをちょっとだけ感じましたが、それにしてもカイアが街の人々に忌み嫌われる理由がよく分かりません。

普通DVが原因で独り身になってしまったら同情するだろと思いながら観ていました。

作中では唯一雑貨店を営むマディソン夫妻が彼女に優しく接しますが、それでも彼女のプライベートには踏み込んでいかずモヤモヤしてながら観ていました。

また義務教育を受けられなかったので読み書きがおぼつかなかったカイアは恋人のテイトから読み書きを教わり図書館で生物学の本を読み漁りつつスケッチを身につけ、湿地帯の生態についての本を書き上げて作家デビューを果たします。

読み書きの習得からCWニコルさんのような作家にまで大成しますが、しかしそれでもなお街の人々は湿地の娘と呼び彼女を蔑み続けます。

普通地元に作家がいたらこんな扱いするか?とずっと思っていました。

私は地元作家のサイン色紙があちこち飾ってあってある種のステータスになっているくらいミーハーな地域で育ったのでといまいち納得がいきません。

田舎だとしても近所にCWニコルさんみたいな人が住んでたら私だったら多分著作全部買ってサインもらいに行きます。

この街の住人が頑ななまでに態度を変えないのは、かねてからの習慣だからなのか今更手のひらを返すのが悔しいからなのかのどちらかなのでしょうが、それでも街全体で蔑む理由もよく分かりません。

 そしてチェイスとテイトと湿地帯に一人で暮らしているのに、ちゃっかり恋人を難なく作れるくらいカイアは可愛く育っているので尚更不思議です。

フーダニットなミステリーが今作のメインですが、私はこの街の人々の行動のほうがはるかにミステリーでした。