・夢の涯てまでも ヴィム・ヴェンダース
ヴィム・ヴェンダース作品の中でも異色の本作はドイツ=フランス=日本=アメリカ=オーストラリア合作の近未来SF作品です。
またこのような作家性の強いフィルム・ドトゥール*1では異例の製作費30億円弱という大作でもあります。
ユーラシア大陸、北米大陸、オーストラリア大陸を巡りに巡るワールドワイド・ロードムービーで驚くことに上映時間はディレクターカット版で5時間もあります。
さすがに長すぎて一日では観れないので今日と明日に分けてみようと思います。
インドの核衛星が制御不能に陥いり世界中は不安の中に生きる世紀末、ヴェネツィアでデカダンスな生活を送っていたクレアがプロヴァンスへ向かう途中でナビゲーションに従わずに寄り道をしたところから物語は始まります。
クレアは銀行強盗たちと事故に合い、その後意気投合し盗んだ資金から30%を自分の取り分にするという約束の元その資金をパリに運ぶのを手伝います。
クレアはパリまでの道中で追手に追われるトレヴァーを助けるも運んでいた資金の一部を盗まれトレヴァーを追うことベルリン、リスボン、ウクライナ、モスクワとヨーロッパをあちこち駆け巡ります。
世界が終わるかもしれない中を描いたアポカリプス作品ですが、パニックになる人々などは映さず退廃的になっている人々を都市ごとに少しずつ映しているのが印象的でした。
ヨーロッパから今度はアジアへ舞台が代わり北京、そしてユーラシアの終点の日本まで来たクレアはトレヴァーに何度目かの再会をします。
トレヴァーは両目の視力を失っているようで、クレアたちは日本で静養することに決め箱根に向かい笠智衆演じる森氏が作った漢方薬でトレヴァーは視力を回復し自分が何者であるのかクレアに告げます。
箱根のシークエンスはそれまであちこち回っていた喧騒的な都会で繰り広げられるシークエンスとは対照的で非常にゆったりと日本の野山をじっくりと観せてくれます。
都会から自然の移ろいが表現されていてなんとも素晴らしく、ここでパート分けしたほうがよかったのではと思いました。
しかし和食料理店で流れてそうな日本の伝統音楽がバックに流れていていたのがちょっと残念でした。
その他の都市のシークエンスではトーキング・ヘッズなどが使用されていたのでかなり音楽が浮いています。
多分映画館で観たらこの辺でインターミッションだろうと思ってここまで観て、残りの2時間40分は明日観ます。