世間は年度末から新年度で忙しい中、私は心底疲れていたので1週間ほど移住した友達を頼って田舎で静養していました。
以前から決まっていた静養なのに準備は当日の出発ギリギリの時間に衣服や読んでいない本やノーパソ等をぽいぽいとトランクに放り込み多少の宿泊料を持って車に飛び乗り約2時間のドライブの末、目的地へ到着。
そこからはひたすらチル・アウトの日々を送っていました。
朝4時頃に起きパソコンの前で頭を抱え無駄に鉛筆をレポートパッドに走らせたりしながら午前10時まで一応仕事をした後は完全な自由を満喫していました。
それでは私は何をしていたかというと昼から夕方までは寺院の掃除や散歩や釣りをしていました。
私の友達の知り合いがお寺の住職をしているので私はボランティア活動として草むしり等々を大自然の中で行っていました。
この草むしりをしていたときに感じたことは森の静寂っぷりです。
本当に耳を澄まさないと何も聞こえず正直最初のうちは慣れませんでした。
よく考えたら普段の私は屋外に出たらほぼイヤホンを付けっぱなしで外で耳を澄ますという行為を一切していないことにも気づきました。
都会には騒音しかありませんが、田舎には環境音しかありません。
耳を澄ませば小川が流れる音や風に揺れる木々の音そして鳥のさえずり。
基本的に聞こえるのはこの3種類の音のみで稀にゴトンゴトンと遥か遠くで走っているであろう列車の走行音が混ざります。
そうして天然のアンビエント・ミュージックを聴きながら草むしりをしていると50メートルほど先に何かがいるのを見つけ、近寄ってみると鹿2頭が私を見ていてびっくりしました。
2頭の鹿の凝視は「なに見とんじゃわれえ」とメンチを切る威嚇ではなさそうなので、そのまま目線を逸らさず後ろ下がり私は逃げました。
宮島と奈良公園以外で鹿をあんなに間近で見たことがなかったので正直かなりビビりました。
そのことを住職に話すと鹿たちは夜中に田畑沿いにある道路に出てきてぼーっとしていると聞いてちょっと見たくなりました。
そして境内周辺をある程度掃除をした後の夕方から夜はひたすら読書をしていました。
蓮實重彦さんの『監督・小津安二郎』と『ゴダール革命』を一気に通読しました。
『監督・小津安二郎』は先月に読むつもりでしたがすっかり忘れていたのでこの機会に読んでしまおうと思っていましたが『ゴダール革命』の方も読めるとはおもっていませんでした。
そして1週間が経ち私は現在帰ってきてしまいました。
若干ホームシックです。田舎に帰りたいです。