私の趣味の一つにステッカー作成があり作ったステッカーを今年は日記帳に貼っています。
日記帳に貼っているステッカーは小津安二郎監督作『晩春』にて原節子が嫁入り衣装に身を包み笠智衆に見守られるあの美しいワンショットです。
そのためか小津作品を観たい欲求に駆られながら日々を送っていますが、観れずにいます。
なぜ観れないかというと蓮實重彦さんの『監督・小津安二郎』を未だに放置したままだからです。
去年の春頃にこの本を読んでから小津作品を再び観よう*1と思っていたわけですが、この本を買って読むのがダルくなり見事に積ん読の棚で鎮座することになりました。
私はてっきり分厚い解説本だと思っていたら想像以上に専門的で重厚な内容に気圧され先に小津作品を観て「す、すごい!!!」と衝撃を受けたのでした。
その後に古本屋でたまたま見つけたドナルド・リチーさんの絶版になっている名著『小津安二郎の美学』を読んで完全に満足してしまい、『監督・小津安二郎』を読む意義も意味も消えました。
リチーさんの著書は撮影や編集などのテクニカルな部分から小津監督に迫ったり創作の様子について等々とまさに私好みな内容でなぜこれが絶版なのか意味が分かりません。
小津作品に興味が湧いている今読まないと一生読まない可能性もあるので頑張って読んでいきたいです。
それでは『監督・小津安二郎』は一体どういう内容か。
ざっと一通り読むところ小津作品に現れるショットの連続から何を読み取れるかということが約400ページに渡って書いてあり、最初にこの熱量と知識に圧倒されます。
このようなスタイルなので小津作品を観ていることが前提になってきますが、私は『生まれてはみたけれど』から『秋刀魚の味』までの作品は大体観ているので多分スタートラインの少し後ろ辺りに立てていることを願います。
小津作品に触れてみると『監督・小津安二郎』の内容が以前よりはとっつきやすくなり、同時に例示されているショットやシーンも蓮實重彦さんの描写の力もあり思い出すことができます。
小津作品を1回観たら目に映る映像が明瞭とはいわないけれど思い出せるくらいには頭に刻まれてしまうところが小津監督のすごさの一つだと思います。
私は強烈な小津監督の個性を前に何を描かれているかまでは観れずに今に至るので本書を読んでまた小津作品を観ようと思います。
そしてブログに感想を書けるようにしたいです。