加藤拓也監督作兼門脇麦主演作の『ほつれる』を観ました。
もしかしたら『レア・セドゥの偽り』みたいに『門脇麦のほつれる』みたいな呼ばれ方をする作品になるかもしれません。
『レア・セドゥの偽り』観たことないけど、そんな気がするくらい名作です。
夫婦仲が冷め切った中で不倫相手が事故死してしまった女性のその後を描いた作品です。
この作品なんと驚くことにスクリーンサイズがスタンダードサイズなのです。
これには私もめちゃくちゃテンションが上がり「うおー!スタンダードサイズだー!」と心躍っていました。
まさか令和の時代にスタンダードサイズの作品が観られるなんて感無量です。
もうこの時点で100点満点中65点くらい点を取っています。
そして次に気づくのは徹底されたロングテイクとライティングの上手さ。
ライティングは特に昼間の撮影が素晴らしく「いやー、最高やん」と思いながら観ていました。
ただその反面夜間はうーん・・・
そして本作にはストーリーというストーリーもなく、登場人物たちは名前すらほとんど出てきません。
一応綿子や文則といった役名はあるようですが、ビリングにも役名が出ていなかったのでただの記号として名付けられているという印象です。
そしてこれはもう私の好みの作品です。
またカット数もものすごく少なく、そして節々に感じるエリック・ロメール監督への敬愛を感じるカメラワーク。
最近の邦画監督はエリック・ロメールが好きな人多いのでしょうか。
すごく良い作品なのですが、セリフだけがちょっと気になりました。
というのも全編に渡りセリフの調子がずっと同じなので、全体的にやや冗長に感じてしまいました。
個人的にはもうちょっと映像を堪能させてもらえたらと思い、これが本当に私にとっては口惜しい限りです。
セリフのヴァリエーションとダイアローグカットがもうちょっと多かったら20年代の邦画でぶっちぎりで好きな作品になっていました。
がしかし、現状でも私的20年代邦画ランキングではかなり上位に位置しています。