裸のランチを読み進めています。
しかしここに書かれている内容はまるで分かりません。
主人公のウィリアム・リーはベンウェイ医師に会いフリーランド共和国に入国する。
分かるのはここまで。あとはどう解釈したらいいのか・・・
この作品は考えるのを止めてただ感じようと方向の転換を図ってからだんだんと魅力が感じられるようになってきました。
何も考えずに段落ごとに注力していきやがて全体を捉えようとすると、これはトリップ体験と呼ばれるような麻薬の幻覚作用を追体験している気分です。
あるいは麻薬を接種した自分が街に飛び出し延々と人々が自分に話かけていると錯覚しているような感覚。
電車に乗り例の街に到着すると駅構内で4〜5人に話しかけられ、立ち寄ったカフェでも周りでずっと話しかけられる。
その会話は脈絡も何もないのに自分はそれを黙って聞いている。
そうこうしてると自分も麻薬をキメていることに気づくけど、気づかずに街を徘徊する。
探すのは麻薬の売人、トリップが切れて非常に気分が悪い、その中でも街中に溢れる麻薬中毒者は話しかけてくる。
読んでたらどんな感覚になるかと言えば大体こんな感じです。
というのもこの作品はこのような展開の連続であると解釈してもよさそうです。
また小説には章立てしてあるのですが、どうやらこの章にはストーリーらしきものがあります。
しかしカットアップによりパッセージが挿入されているのでストーリーらしきものを読み進めるというのはかなり難しい。
ですがカットアップという文章表現の面白さは読んでいて伝わってきて麻薬使用中のドライブ感覚のようなものがひしひしと感じます。
例えば麻薬中毒の治療のために入院した病院内でアヘンの売人を探したりと結構ユーモラスな展開から急に手術に立ち会う章(題名は病院)はかなりお気に入りです。
そして100ページほど読みどのように読めばいいかなんとなく分かってきました。
2〜3ページずつ読み進めるよりも章ごとに一気に読んでしまうのが一番楽しめる読み方だと思います。
この時にあまり書いてあることを考えずに受け入れて感じるようにすれば魅力が少しずつ染み渡ってきます。
何回も読み返すうちにじわじわ染み渡るのかもしれないけどあまり短期間に読み返そうとは思わないしそれに体調がよくないといけない。
なぜなら激辛料理のように人を選び刺激が強すぎる。
今の自分は読み進められているけれど10年後に読めるかどうかは分からない
本作はそういう作品である。本当は裸のランチでもっと記事を書きたかったわけですが、これ以上のことを書けるかと言われたら首をかしげてしまう。
あとクローネンバーグの映画も観てみたい